不動産業界へ就職や転職をお考えの方に必須の資格が宅地建物取引士、いわゆる宅建資格です。
なぜなら、不動産取引においては宅建資格を持っている人しか行えない業務がある他、不動産会社には事務所ごとに従業員5人あたり1人以上の割合で宅建士を設置しなければならない、と定められているためです。
では、宅建試験の合格率は約15~17%ですが、可能であれば時間と費用をかけずに合格したいと誰しもが思います。
今回は宅建試験合格を独学で勝ち取るために必要な情報をお伝えしたいと思います。
独学でも宅建は受かる?メリットとデメリットを紹介
結論から言いますと、独学でも宅建試験に合格することは可能です。
筆者は独学で宅建試験に1発合格しました。しかし、誰しもができることでもないのが事実です。
宅建資格を早く取得するためには、通学あるいは通信制の資格試験予備校等を利用することも選択肢の一つです。
まずは、独学あるいは資格試験予備校を利用するかの選択を迫られます。
そこで、独学のメリット及びデメリットについてお伝えします。
メリット
①費用が少ない
通学通信講座の受講と異なり、数千円程度のテキスト代の出費だけですむということは大きなメリットです。
②自分のペースで勉強できる
自分の好きな時間に、好きな分野を自分の思い通りに学習することが可能です。
③自主性がつく
もともと自主性がある方は別ですが、独学ですと自分でカリキュラムをたて、自分で考えてテキスト、過去問集などを選び、自分で行動計画をたてることになります。
与えられたことをするのではなく、自分で創意工夫し自分で情報を収集し対策を練ることになります。
この習慣は宅建合格後、実際に不動産業界で活躍する際にも必須の能力であるといえます。
デメリット
①効率が悪い
資格試験専門予備校は受験のプロフェッショナルです。
情報収集に日々特化し、合格に必須の知識を短時間でインプットできるよう日々講座をブラッシュアップしています。
そうなると知識のインプットの部分で比べると、どうしても独学は効率が悪くなってしまいます。
しかし、筆者の経験でいいますと、そこまで大差はありません。
なぜなら、テキストに書かれている情報をさらに絞って重要ポイントをインプットするだけですので、逆に言いますと、多少非効率かもしれませんが、必要な知識としてテキストや過去問に掲載されている知識をそのまま習得している方が実務としても役に立つからです。
②情報不足に陥る
資格試験専門予備校は日々最新の情報を集めています。
独学では触れられないような情報を集めることができます。
資格試験予備校に通わない独学では、せいぜいインターネットでしか情報収集することができません。
情報は集めればいいというわけではありませんし、集めた情報をどのように処理するかが大事だといえますが、独学では情報が不足しがちになることは否めません。
③質問ができない
独学の最大のデメリットは、わからない点、理解がしがたい点について質問ができないことです。
特に初学者は法律用語や不動産用語について聞きなれない、また違いが判らないということが学習を進めていくうえで多々出てきます。
独学ではそのような時に自身で考え、調べることで確かに考える力はつきますが、若干非効率であるという点も否めません。
また、誤った解釈で覚えてしまう可能性もあります。
資格試験予備校に通うと間違った解釈で覚えるといった心配もなく、適宜質問に答えてもらえるのは大きなメリットと言えます。
宅建独学で合格に必要な勉強時間は?初心者・再受験者で変わる?
それでは、宅建を独学で合格するためにはどれくらい勉強すればよいのでしょうか。
当然のことながら人それぞれ知識量や暗記の得意不得意、学習時間の取り方に差異があるので、人それぞれですが、平均100~300時間と言われています。
まったくの初学者ですと、当然のことながら学習時間が300時間に近くなりますし、場合によっては300時間を超えることもありえます。
基本的に宅建試験は知識問題ばかりですので、暗記の得手不得手という点も関わってきます。
また、再受験者にしてもほぼ合格点に達していてあと数点で合格できなかったという受験者は学習時間が100時間をきることも珍しくはありません。
一日にまとまった学習時間(たとえば2~3時間ほど集中して学習できる時間)をとることができるか、数十分単位の細切れ時間しかとることができないのかではトータルの学習時間も大きく異なってきます。
しかし、300時間勉強したから大丈夫というわけではありません。学習時間はあくまで目安であり、必要な知識量を習得するための結果でしかないことに注意が必要です。
【短期間で合格】独学で宅建を学ぶ方におすすめの勉強法は?
短期間での宅建合格を、しかも独学で目指すためには効率的な学習が必要です。
では、そのためにはどのような勉強法がいいのでしょうか。
筆者の経験から述べさせていただきます。
情報収集
まずは、情報収集です。
情報収集は資格試験予備校に通った方が効率的とは述べましたが、インターネットで集めることができるような、例えば、この記事のような基礎的な情報で十分です。
試験の日程、試験時間、合格点、合格率、出題範囲などを調べれば十分です。
多くは、テキストを購入したらテキストの最初や巻末に記載されていることが多いのでそれで十分だと思います。
付け加えるなら、勉強中のモチベーションを維持するために、宅建を取得した後の仕事内容や給与など、学習の合間にでも情報収集するのもいいでしょう。
テキストの流し読み
次に、本屋に行きましょう。購入するのはテキストと過去問集です。
テキストと過去問集は同じ出版社や同じシリーズものでなくとも大丈夫です。
必ず、手に取って自分が気に入ったものを選びましょう。
どれだけ宅建受験生から人気があろうとも学習するのはご自身です。
筆者の見解ですが、文章やテキストの配色(カラフルなテキスト)やイラストの有無でも、人それぞれ好みが必ずあります。
筆者はイラストやカラーを使っていないシンプルなものの方が読みやすいですが、カラフルでイラストが入っていた方がとっつきやすくて好みだという人もいます。
必ず、ご自身で手に取って選んで自分が読みやすいと思えるもの、ストレスなく毎日手に取ることができるテキストや過去問集を選んでください。
テキストは薄いもので十分です。
ただし、全体が網羅されているものを選んでください(過去問については後述)。
購入する目的は全体像の把握です。
ですので、毎日手に取って1~2週間くらいでざっと読めるものがいいです。
1時間で30ページくらいのスピードでざっと読んでください。
初学者の方はわからないことばかりで、一つ一つ考えながら読んでいたら時間がかかります。
考える必要はありません。
とにかく読んで「こんなことを勉強するんだ」と全体像を把握するために、わからないことも気にせずとにかく短時間で読み切ることを念頭に置いてテキストを読んでください。
初学者はえてして、一つ一つ全部一回で覚えてしまおうと思いがちですが、それは非常に非効率的な学習方法です。
人間1回で覚えられるものではありません。1回で覚えられる人なら宅建などではなく、もっと難関な試験勉強をした方が有益かもしれません。
「木を見て森を見ず」と重箱の隅をつつくような学習をしていたら時間がいくらあっても足りません。
過去問の繰り返し
テキストでざっと全体像を把握したら、いよいよ過去問の学習でインプットです。
よくテキストでインプットしようとしますが、それは非効率的です。
インプットもアウトプットも最適なのが過去問の学習です。
本屋に行って過去問を選択する際に、ぜひ選択してほしいのが「分野別」で順番に並んでいる問題集です。
分野別で順番に並んでいる問題集と、年代別で並んでいる問題集がありますが、インプットを主眼において過去問を学習しますので分野別を選んでください。
また、問題と解答の記載ですが、過去問集でも
・問題のページの裏面、あるいは隣のページに解答がかかれているパターン
と多くは2種類のパターンにわかれます。
筆者がおすすめするのは、後者の問題のすぐ後ろに解答が書かれている過去問集です。
過去問を学習しますが、それは正確な知識のインプットっととにかく問題形式になれるというためです。
ですので、最初に過去問を解くときに。考える必要はありません。
わからないことばかりだと思いますので、気にする必要はありません。
1問にかける時間は5分以内にしてください。
問題をみて少し考えてわからなければ解答を見ましょう。
そして、解答を読んでテキストを見てください。それだけで十分です。
それ以上時間をかけても今の段階ではあまり意味がありません。
そして、とにかく「考えない」、「1回で覚えない」ということを忘れないでください。
1問5分だと10年分の過去問を2500分でつぶすことができます。
これが1問3分だと10年分の過去問を1500分でつぶすことができるようになります。
とにかく問題を早く読むことが肝心です。
一通り終えたら、同じ問題集の2周目に取り掛かってください。
よく同じ問題集を2度やっても意味がないのではという意見がありますが、過去問集はインプットのために学習するので、覚えるためには2度も3度も同じ問題をすることが効率的です。
2回目も考えないでください。資格試験は時間との勝負です。
そして、宅建試験は知識量の勝負ですので、知っていれば解けますし、知らなかったら解けません。
知らない、覚えられていないことを考えて思い出そうとする時間はとてももったいないのですぐに解答を見てください。
解けないことは今の段階で気にせず、とにかく短時間で問題をつぶしていくことを忘れないでください。
そして、2回目を解き終えたら3回目。3回目を解き終えたら4回目。
初学者の方でも5回同じ過去問をといていたら、知識は定着できると思いますし、反射的に問題を読んだら答えがでてくるようになります。
仮に、問題を見て反射的に解答がでてこないのであれば、さらに繰り返し過去問を解いてください。
最終的に過去問を1問1分で解くことができたら仕上げの段階に入ったと言えます。
直前対策模試
是非とも仕上げには模試を受講しましょう。
宅建の受験雑誌の本を購入して家で模試を受講するよりも、可能であれば予備校の直前対策模試を受講してください。
やはり、いきなり本試験ではそれなりに緊張しますし、とくに試験慣れしていない方は本来の力が出せない可能性もあります。
ですので、試験場の雰囲気になれるということが模試を受ける大きな目的の一つです。
予備校が直前対策模試で出題する問題は、予備校が総力をかけて情報収集し本試験に出題されるであろうと吟味に吟味を重ねた良問です。
予備校側にとってはこの直前対策模試と本試験の問題の類似した数が来季の受講生の確保に大きくかかわってきますので、本気で出題をあてにきています。
ですので、是非とも直前対策模試を受講してください。
【ランキング】宅建独学におすすめのテキスト3選
それでは、次に宅建を独学で合格を目指す際におすすめのテキストを紹介したいと思います。
しかし、どのテキストも宅建試験に必要な知識を網羅することができるので、最終的にはご自身で手に取ってもらい、長く、そして、飽きなくつきあえる自分好みのテキストを選んでいただけたらと思います。
みんなが欲しかった! 宅建士の教科書(2018年度)
出典:TAC出版
出版社: TAC出版
発売日: 2017/10/18
サイズ: 21 x 14.8 x 2.5 cm
ページ数: 606ページ
価格: 3,240円
宅建合格に向けたベストセラーと言えるでしょう。
このテキストの特徴としては、フルカラーでイラストも多く、とっつきやすい印象です。
初学者の方を対象に書かれているので、「読んでわかる」というよりも「見てわかる」ということをコンセプトにされているように思われますから、時間をかけず内容を覚えていきたいという方にはおすすめです。
スッキリわかる宅建士 テキスト+過去問スーパーベスト(2018年度)
出典:TAC出版
出版社: TAC出版
発売日: 2017/11/22
サイズ: 21 x 14.8 x 2.5 cm
ページ数: 944ページ
価格: 3,240円
こちらも宅建テキストのベストセラーと言えます。
このテキストの特徴としましては、テキスト部分と過去問100問が1冊になっているので、1冊である程度の知識を習得することができます。
その分、分厚くなってはいますが、8つに分けることができるので、持ち運びをするにも便利です。
電車通の中での細切れの時間を使いたいという人のためにもうってつけと言えます。
100問だけではありますが過去問も付いているので、腕試し程度での過去問の学習にも使用することができます。
しかし、本格的な過去問学習には問題数は十分ではありませんので、別に過去問集を購入する必要があります。
講義形式で作成されていて、読みやすく、イラストも頻繁に使用されているのでわかりやすく作成されています。
全体として、初学者でも宅建合格に必要な知識を理解して覚えることに主眼をおいているテキストと言えます。
パーフェクト宅建 基本書(2018年版)
出典:住宅新報社
出版社: 住宅新報社
発売日: 2017/11/15
サイズ: 21 x 15 x 3 cm
ページ数: 725ページ
価格: 3,024円
こちらのテキストも、らくらく宅建塾と同じ時期から出版されており、宅建テキストのベストセラーと言えます。
上記二つのテキストと大きく異なる点は、イラストや色などが必要最小限におさえられ、教科書的な作りになっているという点です。
筆者の個人的な好みを述べますと、どちらかというとイラストやカラーがふんだんに使われていると見にくいので、あまり配色がつかわれていないこういったテキストの方がよいなと感じます。
ですので、本当に好みで選んでいただけたらと思います。
合格に必要な知識は網羅されていますし、丁寧に説明もされています。個人的にはおすすめの一冊です。
独学で宅建を学んだ人の口コミ!
最後に、宅建を独学で学んだ方の体験談をお伝えします。
独学でよかった方、失敗した方の口コミを分析することも合格への早道です。
悪い口コミ
独学で失敗した口コミを紹介します。
などです。
良い口コミ
それでは、反対に独学でよかったという口コミを紹介します。
などがあります。
以上をまとめますと、資格試験予備校に通うことに比べて、独学では費用がテキスト代で済むという目に見える大きなメリットがあることは皆様想像しやすいかと思います。
それよりも、独学で宅建試験合格を勝ち取ることができた人とそうでない人との大きな違いは、
②学習計画をきちんと立てて
③それにそって学習することができるか否か
という点に大きな分水嶺があります。
独学ではすべてを自己責任で行わなければなりません。
誰からも与えられないので、自分で考えて行動できる人に向いていると言えるでしょう。
まとめ
独学で宅建合格を勝ち取る、ということは決して不可能なことではありません。
しかし、独学のメリットデメリットは確実に存在します。
独学で成功するかそうでないかは、ご自身の性格の部分「計画を立てて実行することが得意か否か」という点も大きく関係してきます。
得意でない人も、自分を変えてやるんだという強い意思の元、独学に挑戦し合格を勝ち取る方もいらっしゃいます。
最後に、お伝えしたいことは、独学で合格したから優れているとか、独学ではなく予備校に通ったから意志が弱いとかそのようなことは全く関係ありません。
独学での宅建合格はあくまでご自身の人生の中での手段であって、独学で宅建合格が目的やゴールではないことを常々忘れないでいただきたいと思います。