宅建合格を目指し、将来宅建士としての輝かしい未来を想像している方々にとって、避けては通ることができないのが宅建業法です。
宅建業法は宅建士として職務を行う上の約束事が定められています。
宅建業法に違反した場合にはどうなるかなど、罰則も定められていますので実務を行う上でも最重要な法律となりますので、きちんと押さえておくことが必要です。
今回は、一般の方がなかなか触れることがない宅建業法について、宅建試験合格を目指す皆様にその概要、対策をお伝えします。
宅建業法って何?宅建試験突破に重要?
まずは、宅建業法について解説していきます。
宅建業法は宅地建物取引業を営む者について免許制度を実施し、その事業に対し必要な規制を行うことにより、その業務の適正な運営と宅地及び建物の取引の公正とを確保するとともに、宅地建物取引業の健全な発達を促進することによって、購入者等の利益の保護と宅地及び建物の流通の円滑化とを図ることを目的としています。
ポイントとしては、
・宅地・建物の取引の公正を確保する。
・宅地建物取引業の健全な発達を促進する。
上記の3点のうち、学習している内容が今はどの点を規制しようとしているのかを意識することでより知識を整理することができます。
宅建業法は本試験の出題数が20問と一番多く、合格を勝ち取るためには必須の科目です。
また、出題範囲は全範囲と広範ですが、難易度は基本的に優しい問題が占めていますので、満遍なく学習すればそれだけ得点源とすることができますので、やればやるほど、得点することができます。
最初は聞きなれない言葉ばかりですので、とっつきにくい科目と言えますが、きちんと整理して学習すれば得点源とすることができますので、諦めずに、将来ご自身が宅建士となった時のためにも諦めずに学習していただきたいと思います。
どれくらい得点すればよいの?目標点を教えて!
では、宅建業法はどれくらい得点すればよいのでしょうか。
可能であれば全問正解したいところですが、宅建試験の合格点を概ね35点と考えますと少なくとも7割の取る必要がありますが、こと宅建業法については設問自体もそれほど難しい問題がでませんので、是非とも8割は取得していただき合格への土台にしていただきたいと思います。
権利関係については、初学者ではなかなか得点が伸びないと不安になられる方が多いので、是非とも宅建業法において得点を伸ばして他の科目は幾分かの余裕をもって本試験に臨めるようにしていただきたいと思います。
宅建業法を効率よく得点するための勉強法は?
では、宅建業法で満点を目指す、少なくとも8割を取得するためにはどのような学習方法が効率的なのでしょうか。
その点について、以下に宅建業法学習のポイントをお話しします。
とにかく満点を目指す
20問全問正解を目指す勢いで学習してください。
そのような強い気持ちをもって学習をすることによって、はじめて8割~9割の得点を取得することができます。
9割でも2問間違うことができます。8割だと4問間違うことができます。宅建本試験の科目の中でも、満点をとることが決して難しい科目ではありませんので、是非とも20問全問正解を目指してください。
宅建業法は基本的な理解を問う設問が多く、また、条文も民法などとは異なり平易で、読みやすく、初学者の方でも容易に理解できますので、諦めずにこつこつと知識を定着させてください。
過去問の繰り返しで曖昧な知識をなくす
宅建業法で満点をとるためには当然のことながら、正確な知識が必須です。
また、最近の宅建試験のトレンドとして、間違っている選択肢あるいは正しい選択肢の個数を問う、個数問題も出題されています。
通常の誤っているのはどれか、正しい選択肢はどれかという問題ですと、消去法で正解を導くことができますが、個数問題ですと全ての肢について正しい知識を習得していなければ正解を導くことはできません。
過去問の学習を繰り返すことで本試験に慣れることと、知識を定着させることが可能となります。
ですが、解く際にも単純に設問に正解するということを目指すだけではなく、もう一つ工夫して学習することでより正確な知識の定着を図ることができます。
それは、過去問の設問の中で、どの肢のどの部分が間違っていて、その部分がどのような記載であれば正しくなるかということを理解して解くことです。
実際に過去問を見てみましょう。
平成26年 問題34 重要事項の説明(35条書面)
宅地建物取引業者が行う宅地建物取引業法第35条に規定する重要事項の説明に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。1.建物の売買の媒介を行う場合、当該建物の売主に耐震診断の記録の有無を照会したにもかかわらず、当該有無が判別しないときは、自ら耐震診断を実施し、その結果を説明する必要がある。
2.建物の貸借の媒介を行う場合、当該建物が津波防災地域づくりに関する法律第23条第1項の規定に基づく津波防護施設区域に位置しているときはその旨を説明する必要があるが、同法第53条第1項の規定に基づく津波災害警戒区域に位置しているときであってもその旨は説明する必要はない。
3.建物の売買の媒介を行う場合、売主が特定住宅瑕疵担保責任の履行の確保等に関する法律に基づく住宅販売瑕疵担保保証金の供託を行うときは、その措置の概要を説明する必要があるが、当該建物の瑕疵を担保すべき責任の履行に関し保証保険契約の締結を行うときは、その措置の概要を説明する必要はない。
4.区分所有権の目的である建物の貸借の媒介を行う場合、その専有部分の用途その他の利用制限に関する規約の定めがあるときはその内容を説明する必要があるが、1棟の建物又はその敷地の専用使用権に関する規約の定めについては説明する必要がない。
設問の解説は割愛しますが、この問題の正解は4です。
しかし、単純に正解が4であるということを導くだけではなく、では、1~3の肢はどの部分が間違っていて、どのように正せば正解となるかということを意識することが必要です。
肢1については
1.建物の売買の媒介を行う場合、当該建物の売主に耐震診断の記録の有無を照会したにもかかわらず、当該有無が判別しないときは、自ら耐震診断
を実施し、その結果を説明する必要がある。
とあります。
このように学習することによって過去問の学習でもより正確な知識を習得することができます。
とにかく、繰り返し過去問を学習し正確な知識を習得してください。
単純な暗記だけではなく、制度趣旨をきちんと理解する
宅建業法は基本的な知識を問う問題が多いので正確な知識が必要である旨先ほど述べさせていただきましたが、単純に知識を飲み込むように暗記するのではなく、「なぜ、その規制が必要なのか」という規制の制度趣旨をきちんと理解することでより正確に知識を定着することができます。
最初にお話しさせていただきましたが、
・宅地・建物の取引の公正を確保する。
・宅地建物取引業の健全な発達を促進する。
という3つのポイントでその規制がどの目的を達成しようとしているのかを意識することが重要です。
過去問で実際に見てみましょう。
問題35 重要事項の説明(35条書面)
宅地建物取引業法第35条に規定する重要事項の説明及び同条の規定により交付すべき書面(以下この問において「35条書面」という。)に関する次の記述のうち、同法の規定によれば、誤っているものはどれか。
2.宅地建物取引業者は、中古マンションの売買を行う場合、抵当権が設定されているときは、契約日までにその登記が抹消される予定であっても、当該抵当権の内容について説明しなければならない。
肢2について、契約日までに抵当権が抹消される事項について、重要事項の説明が必要か否かを問うています。
不動産を買おうとしている人、借りようとしている人は、その不動産について十分理解していません。そのため、買った後、借りた後に大きな損失を被る可能性があります。
そこで宅建業法では、契約成立の前に必ず取引士が責任をもって説明しなければなりません。
重要事項の説明は「宅地建物の公正な取引を確保する」という点を確保するために定められているのであり、不動産取引の素人である買主に不利な情報を事前に与えておくことが必要になっています。
契約日までに抵当権が抹消される予定であっても、あくまで予定であることを考慮すると契約日までに実際に抵当権抹消されていない可能性もあります。
買主に不利となる情報は事前に重要事項として説明する義務があることを考慮すると、本肢は正解であると導くことができます。
このように制度趣旨もきちんと理解しながら知識を習得することによって、より正確な知識をより速く習得することができるようになります。
まとめ
宅建業法は宅建士を目指すに当たり、単純に合格するという点だけではなく、将来宅建士として実際にお客様の対応をする上でも非常に重要な科目です。
学習すれば学習するほど得点を重ねることができるようになりますので、最初は知らない用語ばかりでとっつきにくいかもしれませんが、臆することはありません。
是非とも満点をめざし、宅建合格を引き寄せて頂きたいと思います。