宅建の合格を目指すならば、避けては通ることができないことが過去問の学習です。
しかし、初学者の皆様にとって、なぜ過去問の学習が必要なのか?という疑問が出てくることでしょう。
さらに、巷に大量にあふれる宅建の過去問からどのような物が自分に合うのか?ぴったりベストな過去問の探し方をご紹介します。
そして、おすすめの過去問をピックアップしたいと思います。
過去問での勉強は宅建試験合格に不可欠?メリットや注意点
過去問での勉強は宅建試験合格に不可欠と言われていますが、なぜなのでしょう。
まずは、宅建合格に向けてなぜ過去問の学習が必要なのか、そのメリットを説明いたします。
そして、過去問を学習する際の注意点にも言及します。
メリット
①傾向と対策を知ることができる
過去問学習の大きなメリットの一つに宅建試験の傾向と対策を知ることができるという点をあげることができます。
宅建の試験に出る分野は多岐に及びます。
初学者の方はその分野の多さに驚き、「こんなに多くの知識をいれなければ合格できないのか?」と挫折される方もいらっしゃいます。
確かに、分野は広範であります。そして不安になられる方も多いでしょう。
その不安は過去問の学習で解決することができます。
過去問を解いていくと、実は同じような論点が出題されているということがわかってきます。
そして、最近の過去問は論点の重要度をランク別に記載されていることがほとんどです。
重要度の高い論点、つまり出題可能性の高い論点を重点的に学習することで、効率的に宅建試験の合格を勝ち取ることができます。
②知識を定着しやすい
宅建本試験は知識問題のみです。
知識問題だけだということは「知っていれば解ける」「知らなければ解けない」ということです。
いくら考えても知らない問題は解くことができません。
過去問を学習し傾向と対策を知ったうえで繰り返し過去問を解くことで、宅建合格に向け必要な知識を短時間で習得することができます。
③問題文になれる
いくらテキストを読み込んでいても、試験の問題文には問題文独自の言い回しがあります。
選択式の問題ばかりですが、「正しいものを選べ」あるいは、「間違っているものを選べ」といった問題になれることが必要です。
過去問を数多く、何度もこなしていくと、次第に問題文になれていき、設問の肢の問題文のうち、どの部分を注意して読むべきかが瞬間的に判断できるようになってきます。
そうすることにより、問題を早く解くことができ、過去問の学習スピードも大幅にあがります。
その結果、より短時間で多くの問題をこなすことができるようになり、知識の定着もより一層はかることができます。
本試験でも時間的に余裕をもって試験を終えることができるようになります。
注意点
過去問を解く際に注意すべき点はとにかく「考えこまない」ということです。
先ほども申し上げましたが、宅建本試験は知識問題ばかりです。
知らない知識はいくら時間をとって考えても解くことはできない。
ましてや、初めて宅建を学習し始めた初学者の方々にとっては知らないことばかりで意気消沈する可能性が高いです。
しかし、そこは気にする必要は全くありません。
今は知らなくて当たり前だからです。「
知らないのだから解けないのは当たり前」「本試験までにこれを覚えたら合格できる」と割り切って、とにかく考え込まず、時間をかけないことを心がけてください。
何度も申し上げますが、「知っていれば解ける」し「知らなければ解けない」のですから、気にせず知識を定着させるためと割り切ってとにかく過去問をこなしてください。
過去問は分野別or年度別のどちらがおすすめ?選ぶ際のポイントは?
これまで、過去問の学習についてメリットや注意点を説明させていただきました。
次に、実際に過去問を選ぶ際のポイントについて解説させていただきます。
【テキスト選び】分野別と年度別はどちらがおすすめ?
過去問を選ぶ際に、まず悩むのが分野別の過去問集と年度別の過去問集のいずれかを選択するかという点にあります。
初学者の方は、分野別の過去問集と年度別の過去問集と2パターンの形式があるのだということを、まずは理解していただきたいと思います。
分野別の過去問とは、宅建の試験科目ごとにまとめられている問題集です。
宅建の試験科目は権利関係、宅建業法、法令上の制限、税金その他と4つです。
その科目、さらに詳細に分野別にまとめられている過去問です。
それに対し、年度別の問題集は分野ごとではなく、実際に本試験で出題された年度の問題を分野に関係なく年度別にならべられている過去問です。
それでは、いずれを選択するかの指標として次に分野別問題集と年度別問題集、それぞれのメリットとデメリットを解説します。
分野別の過去問集のメリット
体系的に学習することができることをあげることができます。
初学者は特に体系的に各分野を学習することで知識を定着しやすくなります。
また、テキストを読んでその分野の過去問をすることでより一層知識を習得しやすくなるというメリットがあります。
分野別の過去問集のデメリット
実際の本試験の問題の順番とは大きく異なるという点です。
本試験では体系別に順番で問題が出てこないということがあげられます。
年度別の問題集のメリット
本試験の出題そのままであり、試験に慣れることができるということがあげられます。
実際の本試験の出題形式になれるということで、本試験での時間配分に即した学習が可能です。
年度別の問題集のデメリット
分野ごとに体系的に学習することができないので、初学者には知識の定着を図ることが難しいという点があげられます。
分野別と年度別の過去問集どちらがおすすめか
総じて、分野別の過去問は初学者向きであり、年度別の過去問は経験者向きであるというのが筆者の見解です。
ですので筆者は分野別の過去問集をおすすめします。
やはり、過去問の学習をすることが、知識の定着及び試験合格の早道であると考えますので、より知識を定着しやすい分野別の方が学習しやすいからです。
過去問を選ぶ際のポイントは?
それでは、次に実際に過去問を選ぶ際のポイントを述べさせていただきます。
過去問の選びのポイントについても、インターネット上で情報を集めることは可能ですが、最終的には個人の好みのところが強いと言えます。
これから筆者が述べさせていただく見解についても、筆者の個人のえり好みのところが強いので、参考程度にとどめておいていただき、実際に過去問集を手に取ってご自身で選んでいただけたらと思います。
①分野別の問題集を選ぶ
まず、上記で述べた分野別と年代別の問題集の選択ですが、必ず分野別の問題集を選びましょう。
筆者の学習方法はとにかく愚直に過去問を何回も解きつづけるというものでした。
過去問を繰り返し解くことで知識の定着を図る必要があったからです。
テキストをいくら読み込んでも実戦(ここでは宅建本試験合格という意味)での知識は定着しません。
そして、論点を正確に覚えていくためには分野別の問題集の方が適しているからです。
分野別の問題集ですと、同じ論点が年代をかえて、そして聞き方も変えて続けて出てくることがわかります。問題を解くことによって、知識の定着を安易に図ることが可能です。
②問題のすぐ後ろのページに解答が書いてある問題集を選ぶ
過去問集を手に取って頂くとわかりますが、先に問題だけが並んでいて、後ろに解答及び解説だけが並んでいるタイプの過去問と、問題文のすぐ後ろのページに解答解説が記載されている過去問とがあります。
過去問を選ぶ際は、必ずすぐ後ろのページに解答解説が記載されている過去問集を選んでください。
宅建受験は時間との勝負です。
過去問を何回まわすことができるかが合否のポイントとなります。
過去問を解いて解答解説を読むという作業の繰り返しになりますが、解答解説をわざわざ後ろの方のページで探すということは時間の無駄であり、筆者には大きなストレスになりました。
すぐ後ろのページですと探す必要もありません。
左ページに過去問、右ページに解答解説という過去問ではなく、ページをめくれば解答解説という過去問の方が学習にはいいと思います。
初学者の方は特に、最初に過去問の学習をする際には、過去問を眺める程度で解答解説をしっかり読み込むという作業が多くなりますので、すぐに解説が読める方が適しています。
③解説が丁寧なものを選ぶ
次に当たり前ですが、解説が丁寧な過去問集を選んでください。
「テキスト○○ページ参照」とだけ記載されているような過去問集を選択してはいけません。テキストを開く時間がもったいないからです。
問題を解いて解説を読むというだけの繰り返しですから、解説を読んで覚えるということが必要になってきます。
ですので、解説が丁寧に記載されていて、過去問集だけで完結するような過去問集を選びましょう。
④自身で実際に手に取って選ぶ
当たり前のことですが、必ず数冊手に取って自分で判断して、問題集を選んでください。
インターネット上でも過去問の評価なども見ることができますし、筆者もおすすめの過去問を述べさせていただきます。
しかし、それはあくまで筆者の主観であり、独断と偏見です。
筆者の好みと読者の皆様の好みは当然異なります。
筆者はあまり色がついていない紙が好みで、色も必要最低限の太字と赤字が使われているくらいが好みですが、読者の中にはカラーも豊富な方が好みという方もいらっしゃると思います。
ですので、情報はあくまで参考程度にして、自分の好みに合うものを手にとって選んでください。
そして、自分の選り好みで選択することによって、過去問集にすべてを捧げる、その過去問と心中するとまではいかないまでも、愛着をもって過去問を解いてほしいと思います。
過去問を開くことが苦痛になることもあると思います。
勉強することが嫌な日もでてきます。それでも勉強をしなければ合格することはできません。
自分で選んだテキストや過去問ですと愛着がもてるので、勉強に向かうストレスも少しは軽減することができます。
【過去問】宅建の勉強におすすめの問題集3選
それでは、筆者のおすすめの過去問を紹介させていただきます。
実際に過去問を選ぶ際の参考にしていただけたらと思います。
2018年版 出る順宅建士 ウォーク問(出る順宅建士シリーズ)①権利関係(1620円)②宅建業法(1620円)③法令上の制限・税・その他(1944円)
分野別の過去問集です。
宅建本試験の問題集を①権利関係②宅建業法③法令上の制限・税・その他の3冊に分冊しているためにB6サイズの非常にコンパクトな過去問集です。
コンパクトですので、通勤時間などの隙間時間にも学習することができます。
解説が問題をめくった次のページにありますので、さくさくと学習することができます。
また、解説の書き方も特徴的で、誤りの肢を、まず1行で端的に解説し、その後に詳しい解説があります(結論→理由といった順番です)。
結論部分の1行解説を読み、なぜ誤りなのか考えながら解説を読み進めるので頭の中に入りやすく、また、記憶に残りやすいです。
しかし3冊に分冊しているので、すべてを揃えようとしたら、5184円と他の過去問集と比べて費用が掛かるという点がデメリットとは言えます。
スッキリとける宅建士 過去問コンプリート12 2018年度 (スッキリわかるシリーズ)(2808円)
出典:TAC出版
TAC出版のスッキリわかるシリーズに対応した、最新を含む過去12年分の本試験問題を、分野別、論点順に編集し掲載した過去問題集です。
本書は分野別問題・解説4冊+最新本試験問題と解説1分冊 合計5分冊が可能ということで持ち運びに便利ということに最大の特徴と言えます。
見開きで解答解説があるため、すぐに解答を確認することができます。
「スッキリわかる宅建士」とセットで活用することで、より大きな効用を得ることができます。
しかし、他方デメリットとして、解答解説を「スッキリわかる宅建士」に解説を任せてしまっているともいえますので、過去問集としては解説の内容がうすくなっているという点にあります。
「スッキリわかる宅建士」とセットで購入したとしても、通勤途中の学習では過去問集とテキスト両方開いて学習するのはあまり現実的ではありません。
過去問集1冊で学習を完結するには向かないといえるでしょう。
みんなが欲しかった! 宅建士の12年過去問題集(2808円)
出典:TAC出版
分野別問題集ばかり紹介していたので、年度別の問題集もご紹介します。
最新年度を含む12年分の過去問を、年度別にやさしい順(合格基準点の高い順)に掲載している過去問です。
問題をやさしい順番(合格基準点の高い順)に掲載しているので、やさしい問題からどんどんとステップアップすることが可能です。
解説はシンプルですが、結論を先に書いていますので、正誤がすぐに確認でき、また、肢ごとに重要度が示されていますので、問題ごとの難易度付きで無駄なく学習できます。
デメリットとしては年度別の問題集であるということと、解答解説が分冊となっている点です。
過去問の効率的な勉強の仕方は?参考書も必要?
それでは、過去問の学習はどのようにするべきなのでしょうか。
効率的な学習で最短の力で最高の力を発揮するための学習について最後にお話しします。
過去問を勉強する際のポイント
過去問を勉強する際のポイントとしては、繰り返しになりますが「とにかく考えない」ことです。
宅建試験は考える必要はありません。論理力も思考力も関係ありません。とにかく「知識」です。
皆様、「8×7」と言われたら考えますか?考えず自然に「56」と答えるでしょう。
宅建試験に関しても即答できるくらい、ご自身の体の中に知識を定着させること、しみこませることこそが合格への最大の近道です。
ですので、過去問を解く際に考える必要も思い出そうと努力する必要もありません。
反射的に出てこないなら、すぐに解答解説をみることです。
それを毎日続けて、5回10回と過去問をまわしていけば解くスピードも速まりますし、反射的に解答が出てくるようになります。
過去問は1冊で十分?
参考書も必要だという人もいますが、筆者は必要ないと考えます。
最低テキスト1冊と過去問集1冊で十分だと考えています。なぜなら参考書を読む時間がもったいないということがあげられます。
もちろん実務家レベルで必要な知識というものはありますが、読者の皆様が必要な知識は宅建試験に合格する知識です。
極端な言い方をすれば、合格最低点を本試験で取るだけの知識です。
多くの知識は武器になりますが、あくまで合格をするための知識と割り切って宅建試験合格に向けて学習していただきたいと思います。
まとめ
今回は宅建のおすすめ過去問集およびその選択の方法、学習の方法について述べさせていただきました。
過去問の学習こそ宅建最短合格への最短距離です。
とにかく過去問を何度も繰り返し解くことで解くスピードもアップします。
解くスピードがアップすることで、過去問をより速く正確に回していくことができます。
2時間で50問を解ききることが宅建本試験です。
これを1時間で解くことができれば、12年分の過去問は12時間で解くことができます。
そう考えると、1日で十分1冊の過去問集を終えることができるようになります。
このレベルまで知識をご自身の内にしみこませることができれば合格は間違いありません。
最初は解けないことは当たり前ですので、くじけず、諦めず、できないものと割り切って過去問学習を進めて頂きたいと思います。